【2020J2第1節ザスパクサツ群馬vsアルビレックス新潟】 新生アルビの所信表明。要所で示した今シーズンのスタイル【マッチレビュー】

2020 3/01
【2020J2第1節ザスパクサツ群馬vsアルビレックス新潟】 新生アルビの所信表明。要所で示した今シーズンのスタイル【マッチレビュー】

ベールに包まれたアルベルト監督率いるアルビレックス新潟がついにお披露目。7000人のサポーターが集まり、ホームのような雰囲気で試合が行われた。

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目次

アグレッシブな守備の正体

キャンプ中1つのキーワードとなっていた「アグレッシブな守備」
90分の中で何度がそのコンセプトを体現していたようなシーンが散見された。

例えば前半23分、奪われた後即時ボールホルダーを囲いボールを奪い返したシーンだ。

堀米のロングフィードからシルビーニョが背後を狙うも相手のボールに。

その瞬間だった。

ロメロフランクや堀米、秋山が一斉にボールを囲いに行き、逆サイドの高木は中に絞ってボランチ経由で逆サイドに逃げられないように立ち位置で横の横断を遮断する。

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前半23分①
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前半23分②

最終的に宮坂の苦し紛れの前へのパスを新潟が掻っさらいマイボールに。

「攻→守の切り替え」時に素早くボールホルダーを囲み、切り替えのスピードとフィジカルの強さを披露する。

このプレーにアルベルト監督は選手達に拍手を送っているところをみると、コンセプトを体現できていたプレーではなかっただろうか。

相手がディフェンスラインからボールを前に運ぶ場面では常に高いラインを維持しコンパクトネスを保っていた。

群馬はオーソドックスにボールを運ぶ。4バック、時には3バックのような形でボールを運んでいたが、こちらのマークの基準が狂わせられるような流動性はなかったので、比較的迷わず新潟はプレスができていた。

主な群馬の攻め筋は少し下がった大前にディフェンスラインから当てることと背後を狙った進へのロングボールという2択。完璧ではなかったもののそれほど危険なシーンもなくうまく対応する。

新潟の守備は、フォワードを中心にサイドに誘導してボールサイドに全体を圧縮し、サイドで奪う設計。ディフェンスラインは高く保ちコンパクトネスを維持する。高い位置では秋山が一列前に出て4-1-3-2のようになり、ボランチが縦関係になる。

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前半8分

秋山が一列前に出ること、ボールと逆サイドのサイドハーフが絞り中央の圧力を強めることで、群馬のサイドバックがボールを持ったときにボランチにボールをつけることが難しくなる。その結果、ある程度縦にボールを送る選択肢に絞られることで、新潟のディフェンダー陣は思い切って前に出ることができる。

思い切って前に出れるのはそれだけではなく。空けたスペースを誰かがカバーすることが徹底されていたことも大きい。サイドバックが前にアプローチにでればゴンサロやセンターバックがそのスペースをカバー。前に強く奪いに行くマウロがボールホルダーを潰しに前にでたときはゴンサロが下がってカバーといったように、空けたスペースのカバーも抜かりなかった。

攻撃時のリスク管理も怠らなかった。

ボールを保持している場面ではセンターバック2枚とゴンサロ・ゴンザレスを中心にポジションを調整し守備に切り替わった場面の準備も欠かさない。

最初のプレーで大本が相手陣地でボールを持っている際に、センターバック2枚とゴンサロ、そしてボールホルダーと逆サイドのサイドバックである堀米がコミュニケーションを取ってポジショニングとマークを確認している様子がそれを象徴していた。

距離感の近い攻撃

新潟のビルドアップは後ろ3枚+アンカー1枚の形でボールを運ぶ。3-1-4-2の陣形だ。ビルドアップはゴンサロが下がって3枚になった3バックとアンカーの秋山が担い、サイドバックは幅をとり、高い位置で大外のレーンを制圧する狙いが配置から読み取れた。

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しかし前半の新潟はサイドバックが高い位置を取らず、幅を使えなかったことで中央で潰されることが多かった。群馬は中央に圧縮して陣形を保っていたが幅も使わず左右に揺さぶらず、だとなかなか中央にスペースを生むのは難しい。

理想としては下の画像のように高い位置をサイドバックが取って幅を取り、フォワードは背後を狙って深さを作ることで群馬の陣形にスペースを空けることだ。

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渡邊新太は「前半は向かい風の影響があったので、しっかり耐えようとチームで話して、後半にチャンスが来ると思ったので、プランどおりだったと思います。」(Jリーグ公式HP)と語っている。前半はパスの正確性が担保されない風下の影響を考えて、なるべく攻撃時も距離感を近くし奪われてもすぐに複数で奪いにいける距離感を保つことで風下によるアクシデントを極力抑えるようにしていたのかもしれない。

幅がとれずに効果的な攻撃でシュートまでなかなか持っていけなかった新潟。
サイドからのクロス一辺倒になり群馬の守備陣に跳ね返されていた。

新潟が明確に狙っていた攻撃のパターンがあり、そのパターンも幅が取れずにもう1歩というところで終わってしまった印象だ。

シルビーニョが中盤のエリアに降りてマークをDFラインからおびき寄せることでスペースを空け、そのスペースにロメロフランクが飛び込む形。前半だけで3度ほど観察でき、再現性のある攻撃であったため、準備していたパターンだろう。

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しかしこのパターンも大外に選手が配置できず、センターバックの渡辺広大が空けたスペースは右サイドバックが埋めることで対応されていた。

例えば堀米がもう少し高い位置を取って注意をひきつけていればスペースをカバーする動きも遅くなり、対応が一歩おくれることでフランクはチャンスを作れていたかもしれない。

幅を取り始めた攻撃

アルベルト監督は「追い風になった後半に狙ったのは幅を取った攻撃。」Jリーグ公式HPと語っている通り、前半の密集した状態からサイドバックが高い位置にポジショニングし、幅を使う形に修正。サイドハーフも前半よりサイドに受けに行くことが多くなった。

例えば67分は左サイドから秋山を経由して右サイドへ、高い位置でボールもった大本から空いたスペースにファビオが抜け出した。

73分には小島が浮き玉でスペースを確保している堀米にボールを送り、中からサイドに開いたロメロフランクに出した縦パスからファビオへボールを送っている。

サイドで良い状態でボールを持つとサイドバックとセンターバックのスペースが空き、外→内でゴールエリアに迫れるようになっていった。

だがサイドチェンジ等でサイドを揺さぶるシーンがでてきたが回数が少なく、群馬の守備陣を崩すまでには至らない。

風穴を空けた渡邉新太のゴラッソ

主導権は握るが決定的なシーンを多く作れず、シュートも入らないといった状況で80分が過ぎるがついに新潟がゴールをこじ開ける。

本間至恩との交代が予定されていた新太がこぼれ球をダイレクトボレーで蹴り込み先制点を挙げた。相手の直前の交代でマークの確認が甘くなったこともあるが、相手としてはどうしようもない、素晴らしいシュートであった。

新潟がゴールをこじ開けたことにより、前がかりになった群馬の守備にスペースが生じやすくなってくる。

ここで、きいてくるのが高木と代わりフォワードに入り、途中出場で再三背後を狙い相手のディフェンスラインと駆け引きしていたファビオ。

堀米が意図的に空けた中央のスペースに走りボールを受けると背後を抜け出したファビオへスルーパス。ファビオが打ったシュートは外れるものの、ロメロフランクの2点目につながった。

勢いにのった新潟は、つづけて大本のクリアがそのままファビオにつながり、ファビオが独走状態でシュートを決め3-0でフィニッシュ。

耐えに耐えていた群馬の守備陣を渡邉新太のゴラッソで崩壊させ、3-0の快勝に至った。

あとがき

・前半は幅がとれず、深さもなかったので窮屈な攻撃となっていた。ピッチコンディションの影響なのかもしれないが、アルベルト監督の中であれはOKだったのか。あのような状況のなかでももう少し幅と深さはとってほしかったのかはわからない。

・ゴメスは度々偽サイドバックのようなインナーラップを狙っていたが、この場合ロメロフランクやシルビーニョがサイドにでてフォワードは降りずに我慢してゴメスが狙うスペースを空けなければいけない。2点目はこのゴメスの動きをきっかけにゴールにつながったが、それまではゴメスの動きに対して周囲がうまく対応できていなかった。

私の意見ではあるが周りがうまく対応していなかたことと、インナーラップは本間至恩のような大外で力を発揮し打開できるような選手と組んでこそ効果を発揮するので、今節はすこし狙いすぎじゃないだろうかという印象をもった。あんまり多く狙うとフランクと組んでいる意味が薄れていくというか。アルベルト監督とどう折り合いをつけていくかは今後の楽しみではあるが、中に絞ることが目的となっていなければいいけれど・・という心配もある。(2点目につながっているしその動きが悪いと言っているわけではないし自分もインナーラップは好き。)

・守備では完璧とはいわないものの11人全員が高い守備意識をもち誰かが無理をするようなチームでなくなったことは好印象。こうやって守備をしていくよという所信表明を受け取ったような気持ちである。ただ群馬の攻撃がそこまで流動的ではなく対応が難しくはなかったので今後マークの基準を崩されるようなチームにあたったときにどういう対応を行うのかに注目したい。

・オープンになったところでファビオの背後を狙う動きは相手からしたら厄介極まりないのでチームの完成度が高くない今、心強いオプションになっている。192cmの長身ながらしなやかさとスピードがあり、ディフェンスラインの驚異になっている姿にフェルナンド・トーレスを重ねてしまった。玉乃淳との2トップが期待される。

・攻守でやりたいことが要所でみえた試合であり、今後目指す姿を示しながら完成度が低い中でも勝ち点3で開幕戦を飾れたのは非常にポジティブな要素である。今後このままうまくいくとは思えないがチームの紆余曲折を楽しむ気持ちで今シーズンを見守りたい。

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