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【2020J2第2節ヴァンフォーレ甲府vsアルビレックス新潟】 駆け引きの応酬【マッチレビュー】

2020 7/01
【2020J2第2節ヴァンフォーレ甲府vsアルビレックス新潟】 駆け引きの応酬【マッチレビュー】

待ちにまったJ2再開。

4ヶ月1位をキープした新潟は王者の風格を漂わせアウェイ甲府へ出陣。

目次

5バックの狙いとは

キックオフの陣形をみて、驚いた。



最初からDFラインが5枚並んでいたからだ。実際に試合が始まると守備時は5-3-2の形をとり試合を進めていた。この狙いについては試合終了後にアルベルト監督が語っている。

相手が長いボールを入れて、サイドの深い位置を攻めてくることが予想されたので、守備で68メートルの幅を守るために、5バックでプレーした。同時に、幅を取った攻撃をしたかったので、5人のラインを選択した。

https://www.jleague.jp/

前節の甲府VS町田戦を観察するに、甲府はサイドの深い位置にロングボールを入れてFWをサイドに流し、キープするというボールの前進方法があった。
そのFWに対して、仮に新潟のCBがついていった場合、中央が手薄になる。ならば甲府がロングボールを入れたいスペースにあらかじめ人を配置し、かつ中央に人数を確保しよう。それが『横幅68メートルの幅を守るために5バックを選択した。』ということではないだろうか。


幅をとった攻撃をしたかった理由は、甲府のDFラインと中盤のライン間のスペースを広げて攻撃を仕掛けたい狙いがあったのではないだろうかと考えている。(もちろん今季のコンセプトに基づいてという理由もあるだろうが)私が甲府を観察してウィークポイントと感じられたのは、DF-MF間、いわゆるライン間の守備の緩さだ。度々町田にそのスペースを突かれていたが、新潟も大外にウイングバックを開かせて中央のスペースを広げることで攻撃を仕掛けていた。

甲府としては、攻撃時にゴンサロがDFラインに下がることで3バックでビルドアップをすることは、群馬戦で観察できたはずなので想定内ではあっただろうが、守備時に5バックを選択することは予想外であっただろう。

5バックにすることで甲府のロングボールに対してなんなく対応することができており、大外に選手を配置することで得られるスペースを使ってボールを前進させられることはある程度できていた。

新太の得点も幅と深さで作ったライン間にロメロ・フランクがボールを受けることで始まったものである。

しかしアルベルト監督も語っているが、中盤が3枚のような形になることのデメリットも垣間見えた。

中盤3枚のデメリット

5-3-2のシステムで選手を配置した時に構造的にどうしても泣き所になってしまうのが中盤3枚の脇のスペース。左右に揺さぶられた時に中盤3枚のスライドが遅れるとその脇で、相手に時間とスペースを握られ、フリーでボールを安全に前進されることになる。よって重心が後ろになり、前でボールが奪えずなかなか試合のコントロールを握れなかった時間があった

簡易的に表した中盤3枚の脇のスペース

中盤の1人をDFラインに加えてDFラインの中央を厚くする代償。中盤3枚の負担も当然大きくなる。享受するメリットと払わざるを得ない代償の収支がプラスになればよいが、時間が進むに連れ相手が対応し始め収支があわなくなっていった。

収支があわなくなっていったきっかけは得点後に甲府がドゥドゥと泉澤のポジションチェンジを実行した時ではないか。この交代により左サイドの守備の連動がスムーズになり、更に攻撃でも泉澤がサイドで持つとスライドが追いつかずそこから前に運ばれていった。想定外の新潟の5-3-2に対して修正を図った形だ。

アルベルト監督もコメントで言及している通り、修正を図るため前半終盤から中盤を4枚に変更することになる。

一方で、最終ラインを5人にすることで中盤の人数が1人減る。それにより試合をコントロールできない時間もあったので、中盤の支配を改善するために、あらためて中盤の人数を増やした。

jleague.jp(https://www.jleague.jp/match/j2/2020/062721/live/#player)



1失点目のシーンはロメロフランクが前線に飛び出したが相手ボールになった瞬間中盤がゴンサロの1になってしまっていたが、3枚になると中盤の人数がしばしば足りなくなる。ロメロフランクの飛び出しは大きな武器でもあるが、このシステムにおいて諸刃の剣でもあった。

フランクが飛び出しが武器である以上、そのデメリットを理解して周囲の選手は守備を考えたポジションをボール保持時に取るべきであるし、攻→守の切り替え時も危険を感じてボールホルダーを潰しに行ったりすばやくポジションに戻る必要があった。簡単に前進を許してしまい、泉澤のスーペルなドリブルから失点してしまった。

再開直後の試合でもあり、中盤の負担が大きく致し方ない部分もある。しかし中盤が飛び出しているシュチュエーションで、周囲が守備時のことも考えてポジショニングしていることや、攻→守の切り替えの振る舞いで気が緩むと一気に相手にボールを前進されてしまう。今後もフランクの飛び出しは強力な武器であるものの、副作用に注意しないと同じようにピンチを迎えてしまうかもしれない。

4バックへの変更

立て続けにミスで2失点目を喫した新潟は、前半終盤から中盤のコントロールを取り戻すために4バックへ変更する。

ゴンサロがボランチに戻り、守備では4-4-2を形成。この変更により前への圧力を高めた。
攻撃はスタートポジションに変化はあるものの、後ろ3枚でビルドアップを開始する戦い方は変わらない。秋山やゴンサロがボランチからDFラインに落ちてビルドアップを安定化させボールを前進させていた。

ゲームをコントロールし始めると、前半終了間際に秋山の寸分の狂いもないロングパスが、相手の背中側に膨らみ飛び出した新太に渡ると、ダイレクトでゴールに流し込み同点に追いつく。見事にも程があるので新潟のサポーターしかこの得点を観れないようにして映像を秘匿してほしい。見つけないで。

交代枠5枠の使い方

後半、甲府はベテラン山本をボランチに投入。

前半の最後に同点に追いついた新潟は勢いそのままに、新潟が甲府を崩しにかかる。
後半の特徴としてはドゥドゥが秋山の監視を強めたこと。ただ秋山は左に落ちることでドゥドゥの監視から逃れ、更に前半うまくいっていなかった左サイドのボール循環を活性化させた。
秋山はビルドアップ隊員として優秀すぎるので、隊長と呼んであげてほしい。

前半60分に高木に代えて本間至恩、69分にシルビーニョを投入。足をつった堀米も早川と交代した。本間とシルビーニョでサイドから打開を狙う。

甲府も60分にハーフナー・マイクと太田、更に金園を投入しパワープレイを仕掛ける。
先に追加点をあげたのは新潟。

前線からの連動した素晴らしいプレスで甲府のビルドアップ規制。そしてゴンサロがいともたやすく相手から奪うと、本間至恩のルーレットで相手を交わしながら空いていた右サイドのシルビーニョに浮き玉でパスを出し、シルビーニョがゴール左隅に流し込んだ。

しかしその後は新潟が落ち着いてボールを保持することができず、相手のリズムにお付き合いする形になり、ロスタイムにセットプレーから失点。勝ち点2がこぼれ落ちてしまった。

GKにトラブルがあり、交代枠を使いながらも余裕を持って次々とパワーのあるFWを送り込んでくる甲府に対し、なかなかボールを落ち着かせることができなかった。今後も同じように相手が交代枠を使った場合の試合の締め方はひとつ課題になってくるのではないか。

甲府レベルで次々と嫌なFWを投入できるチームはJ2であまり存在しないが。

その他

・前半にみられた右サイドの崩しは再現性があり、しっかり準備されていたと感じた。相手の左サイドバックの内田を新井にくいつかせ、空いた内田の背後のスペースをサイドに流れるフランクが使う。フランクが空けたスペースはファビオや新太がおりて使う。この一連の流れは今後も武器になりそうだ。

・新太がいよいよエースとしての風格を醸し出してきた。得点はもちろんだが、前線からのプレスやボールをもらう時の顔の出し方も素晴らしく、2年間で積み上げたものが今、華を開いている。

・第1節のファビオは背後への抜け出しで、その強力なフィジカルを披露してくれたが、今節は相手を背負うことができ、守備も献身的、そしてラストパスも出せるというまた違った一面を見せてくれた。非常に頼もしいFWがまた今年も新潟にやってきてくれた。

・今後も5-3-2(3-1-4-2)はオプションの1つとなってくると予想されるが、インサイドハーフの運動量が激しく、フルシーズンで高木やフランクを起用できるイメージが全くわかないので、島田や小田に期待がかかる。

・この強度で半年41試合を戦わなければいけないが、スタミナを持たせるためにもいかに試合のテンポを新潟がコントロールできるかという点が重要になってくる。

・いつも以上に相手チームとの駆け引きがみられて、第3者からみても面白い試合になった。

・JリーグデビューとなったGK藤田。クロスへの対応だったり、ゴールキーピングでは課題を残したがビルドアップでの貢献は光るものがあった。なにより左右両足で蹴れるのは大きな強みである。高精度のフィードも今後は新潟の武器になりそうだ。

さいごに

良いところと悪いところがはっきりした試合だった。
どのように進化していきたいのか、観てる側にも伝わっくるようなそんな試合。

次節から金沢、松本と甲府同様にやりにくい相手との対戦が続く。
甲府戦を経てこの2チームに対し、試合のテンポをコントロールし、相手のリズムに合わせてしまう時間をどれだけ減らすことができるのか、という点に注目したい。

ハイライト動画

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