三浦監督の休養が5/7に発表された。
公式サイトに三浦文丈監督の休養についてお知らせいたしました。トレーニングは片渕コーチが暫定的に指揮を執り、内田コーチがトップチームコーチに就任します。すぐにある試合へ、団結して向かっていきます。応援お願いします。 https://t.co/MDG2dlAuwM #albirex
— albirex_pr (@albirex_pr) 2017年5月7日
10試合を終えて1勝2分7敗の勝ち点5。順位は17位で、成績や試合の内容をみると、新潟が史上最速で解任に踏み切ったのは致し方ないことではある。守備ではある程度形は見えたものの攻撃に関してはホニのスピードやガリャルド個人のアイディアに依存するものが多く、サポートの動きが乏しかったり単純なショートパスのずれによりビルドアップがうまくいかなかったりとあまりにも整備されているは言えない状態で守備に負担がかかっていた。
しかし、当初三浦監督が言及していた理想のサッカーや試合を通して見えた三浦監督の狙いはかなり納得できるものであったのは確かで、私は新潟の抱える問題やチームの強み等をしっかりと考えて形にしようとしていたのだなという印象を受けている。
ここでまず個人的に考える新潟の特色や問題点を簡単に洗い出して見る。
・質の高いブラジル人を安定して獲得できる。
・選手を引き抜かれやすく選手の入れ替わりのサイクルがはやい。
・資金の乏しさから質が高く完成された選手を獲得するのは難しい。
この3点を踏まえた上で三浦監督の目指したサッカーを3つのキーワード共に振り返り、どのように新潟にメリットがあったのかを述べていく。
ゾーンディフェンス
ゾーンディフェンスとマンマークの違いは松田弘氏の『サッカー守備戦術の教科書』や、他のサイトでわかりやすく解説されているのでそちらを確認していただくとして、理論的に新潟はマンマークよりもゾーンディフェンスで守る方が良いと確実に言える。なぜならマンマークのディフェンスは個人能力に左右されるからである。残念ながら新潟は質の高い選手を獲得できる可能性は他のクラブよりも限られていく中でマンマークを基本とした戦術を取るのは理論上ナンセンスなことである。ゾーンディフェンスを基本とした戦術であるならば効率的に危険なエリアを防げるし一個のボールに対して複数の選手が対応することになるので個人能力の低さをカバーすることができる。ただし日本ではゾーンディフェンスが根付いていなく習熟に時間がかかること、ゾーンディフェスの理解度の低い選手は使いづらいこと(新潟のスタメンが固定的だった理由のひとつである)のデメリットがある。しかし長期的な観点からゾーンディフェンスの習得は必ず新潟が上位に進出するに当たって必要不可欠なことであるのでこの路線を継続してほしいところである。
コンパクト
三浦監督がしきりに使っていたキーワードである。ゾーンディフェンスをやるにあたって、選手間の距離をコンパクトにしてすぐにサポートできる位置にいなければならない。新潟の特徴としては横にコンパクトで中央は絶対やらせないというような意図がみえた。攻撃をサイドに限定してそのままサイドで奪う、もしくはクロスを跳ね返す。相手の攻撃の手段を少なくすることが目的だ。例えば新潟はスピードがあって高さもあり冷静に判断できる守備能力の高いというような総合力のあるDFを獲得できるだろうか。まず可能性は低いだろう。しかし他の能力は平凡だとしても空中戦にはめっぽう強いCBを獲得することはできる可能性はある。こういったチームの台所事情を考えても横にコンパクトにすることは理にかなっている。三浦監督は更にプレスと連動して縦にコンパクトにし、なるべく高い位置で奪うことも狙っていた。結局三浦監督はこの縦のコンパクトという狙いをチームに落とし込むことができなかったが、前線と守備陣の意識が共有されてDFラインを上げ縦のコンパクトも維持できればワンランク上のチームになり得るのではないか。
ゴールからの逆算
三浦監督はゴールを奪うためにはどのようにチャンスを作り、そのチャンスを作るためにどのような守備を行えば良いのかを意識していた。今シーズンで言えばチームのストロングポイントはホニの爆発的なスピードである。そのスピードを持ったホニを中心とした攻撃でゴールを奪うためにゾーンで組織的にブロックを作りシンプルに素早く展開するサッカーを目指した。三浦監督はまずホニをみるように指導している。新潟のストロングポイントはブラジル人FWになることが多いことを考えるとこの逆算は新潟にとって普遍的なものになり得るのではないか。選手の入れ替わりのサイクルが速い新潟にとってポゼッションよりもこういったサッカーの方が新加入選手にとって理解がしやすいのもメリットである。
以上3つのキーワードから三浦監督の目指すサッカーを振り返った。確かに内容は良いものではなかったが彼が新潟で目指したものは理路整然としていて納得のいくものが多く、このまま忘れ去られてはいけないと思い記事にした。フロントは三浦監督が定めた方向性をブレずに突き通してほしいと思う。新監督の呂比須ワグナー監督も三浦監督と同じようなサッカーをパラナクラブで用いていたのでそこまでの変化はないはずである。呂比須ワグナー監督が三浦監督の目指したものをさらにブラッシュアップすることでなんとか残留にこぎつけて未来に繋げてほしい。
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